研究課題/領域番号 |
22730705
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研究機関 | 聖トマス大学 |
研究代表者 |
本多 千明 聖トマス大学, 人間文化共生学部, 准教授 (20454697)
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キーワード | 社会参加 / 市民性 / サービス・ラーニング / 教育学 / シティズンシップ / 環境教育 / 子ども / 持続可能な社会 |
研究概要 |
現代社会に生きる子どもたちには、国際社会における平和で民主的な国家・社会の形成者として、社会に主体的に参加し課題を解決する力の育成が求められている。アメリカでは、「参加」型学習を取り入れ、地域社会の課題解決を目指した社会的活動に生徒を積極的に関与させ、生徒の市民性(シティズンシップ)を発達させることをねらいとした教育方法であるサービス・ラーニングの取組みが行われている。本研究は、市民性の育成と地域における子どもの社会参加に関する視点から、市民性の育成を目指した海外における理論や取り組み、教育実践を考察し、我が国における実践活動と比較することにより、よりよい社会を創造し維持する市民としての責務を全うし、そのための能力を、生涯を通じて高めていく市民を育成する教育について考察を行った。 平成23年度は、1、アメリカのニューヨーク市内の小学校の教育現場を視察し、学校における教育目標や教師の指導方法などを調査した。アメリカ合衆国のニューヨーク州に本部を置く教育NPOである、ティーチ・フォー・アメリカ(Teach For America)の本部を訪問する機会を得、教育格差を是正する取り組みについて考察した。2、日本の小学校における事例としては、子どもの環境意識を高める教育活動に関する取り組みの発表会に参加し、小学校におけるビオトープづくりに取り組む活動についてまとめた。 教育活動を通して、学校と地域社会が相互に連携し、協力し合いながら「持続可能な社会」を実践することが求められている。今後の課題としては、各地域における市民性教育に関する実践の類型化や、諸外国における実践事例の検討などが挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に進展している理由としては、1、アメリカの小学校の教育現場だけではなく、全米の学生の理想の就職先として上位に選ばれるようになったティーチ・フォー・アメリカ(Teach For America)の本部にも訪問し、様々な教育実践に関する取り組みに関する考察を行ったこと。2、日本における教育実践の事例として、地域における学習活動の意義や課題についても、多角的に検証したことなどが挙げられる。次年度以降も、様々な教育実践の検証を行い、市民性育成の理論や背景を考察する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策は、1、ヨーロッパのみならず世界の各国でシティズンシップ教育(Citizenship Education)の関心が高まっているため、各国における教育実践事例について検討すること。2、英米での理論や取り組み、教育実践をさらに考察し、わが国における実践活動と比較して実証的研究を行うことにより、よりよい社会を創造し維持する市民としての責務を全うし、そのための能力を、生涯を通じて高めていく市民を育成するあり方について論証すること。3、市民性教育ネットワークなどが如何に連携しているのか、市民性育成に関する理論や背景を考察すること。 以上の推進方策を踏まえ、活力ある市民社会を担うべき「公民」の育成について、多角的に考察する。
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