本研究の最終目的は、小学校1年生から6年生の生徒が最低限学ぶ項目を組み込み、かつ、教科の時間に学ぶことができる「全国統一の防災教育のカリキュラム作成とそれに基づいた教材作成」を行うことである。そのために、全国の防災教育事例調査(県市教育委員会、防災教育チャレンジプラン実践校、ぼうさい甲子園表彰校、人と防災未来センターなど)を中心に行ってきた。その際に、地震災害だけでなく火山や津波などの災害について常襲地域ではどのように教育が行われているのかの実態調査を行い、地域特性と防災教育の実態把握を調査した。また、研究途中で東日本大震災(2011年3月11日)が発生したため、途中からは特に被災地の学校の現状調査、被災地での防災教育を中心に調査を進めた。 全国の防災教育を眺めると、地域による災害特性の違いによる防災教育の違いだけでなく、過去の被災地(現代の防災行政において大きな被害を受けた地区)と現在の被災地、また現代において大きな被災の経験がない地域では、防災教育の入り口や手法、目標は異なる。その一方で、災害が異なっても伝えることは共通している部分もあり、地域の災害が異なっても同じ手法は有効である。しかし、様々な地域や学校の実践は地域やエリア限定的なものが多く、まだまだ全国的に共有されているプログラムや教材の少なさを痛感した。 このように、学校の教科教育の実態調査、防災教育の実態調査を経て、防災教育のカリキュラムとそれに基づいた教材が完成した。作成した教材の一つは、2011年3月11日に発生した東日本大震災の調査に基づいた「伝統文化と災害」をテーマにしたものなどがあり、教科(この教材は社会)で学習できるよう指導書もあわせて作成している。今後は、教材やカリキュラムを実効性のあるものにするため、学校などに発信していく予定である。
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