本研究の目的は、近年の米国において急速に開発が進められているキャラクター・エデュケーション教材を公民教育と道徳教育の統合という視点から分析し、明らかになった授業構成の論理に基づき、我が国の社会科公民教育の授業モデルを開発することにある。 本年度は、3年の研究期間の最終年度にあたり、次のような研究活動を実施した。第1に前年度までの米国キャラクター・エデュケーション教材の分析から抽出した論理に基づき、我が国の社会科向けの授業モデルを開発した。第2に学校現場から授業モデルの有効性に関する意見を集め、授業モデルを精緻化した。第3に社会科教育関連学会等において、授業モデル開発の成果を発表した。第4に授業モデルを教授書形式で示した授業研究報告書を作成した。 具体的には次のような活動に取り組んだ。授業モデルについては、中学校社会科公民分野向けの教材として「トリアージ‐助ける命を選べるの?-」、高等学校公民科向けの教材として「輸血拒否事件‐あなたの命はだれのもの?‐」を開発した。そして、本授業モデルの有効性について学校現場の社会科・公民科教員から意見を聴取し教育実践可能な教授書形式の授業プランに精緻化した。授業研究の成果を法と教育学会が後援する公民授業づくりに関するシンポジウム及び岡山県教育委員会が主催する社会科教師向けの研修会において発表を行った。そして、これらの研究成果を『米国キャラクター・エデュケーションにおける公民と道徳の統合論にもとづく社会科授業開発』という授業研究報告書にまとめた。 以上のように、今年度当初に計画した研究活動を概ね順調に遂行することができた。
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