研究課題
本研究は、3つの研究課題から構成されている。まず、1)聴覚障害児の手話語彙発達に関する基礎研究、として4歳から12歳まで90名の聴覚障害児にチェックリストを用いて手話の理解語彙、使用語彙についての調査を行う。次に、2)内外の手話語彙テストに関する調査研究、として既存の日本語の語彙力テストを手話版に改編できるかどうかを検証するとともに、外国にある手話語彙テストを収集、分析を行う。これらの研究成果をふまえて、3)ろう学校の現場で使用しやすい手話語彙テストを開発し、実際に聴覚障害児に実施することによってそのテストの妥当性についての検証を行う。平成23年度は、各手話語彙についての難易度についての基本的な調査を終えた。その中で、手話語彙評価として使用するには、写像性が高く、手話を知らない子どもでもその手話を見て意味を類推することができるものを取り除く必要がある。手話語彙評価テストを作成する場合、この写像性の問題をいかに排除するかは極めて重要なポイントになる。そこで、子供のドイツ手話の力を評価するテストを開発し、また内外の手話評価法について詳しいチューリッヒ特別支援教育大学のTobias Haug氏を訪問し、研究にかかわるディスカッションを行い、また内外の手話評価法に関する資料収集を行った。また、テストの形式として、手話刺激を映像によって提示し、その意味に最も近いものをいくつかのイラストから選択するタイプと、子どもの手話使用語彙について保護者や教師に質問紙によって尋ねるチェックリストタイプ、絵や動画などを提示し、そこに当てはまる手話語彙を表出し、それが正しく表出されているかをチェックする手話語彙表出テストのタイプがある。どの形式がろう学校にとって最も使いやすく、指導内容や指導方法の改善につながるかについて、平成24年度は検討していきたい。
3: やや遅れている
手話語彙評価テストを作成する際、写像性の問題が、想定より大きいことが分かり、テスト刺激として用いる手話語彙の写像性の影響を排除する方法について検討が必要になったため、多少進行が遅れている。
進行は多少遅れているが、研究計画そのものに大きな変更はなく、平成24年度末までには、予定されていた研究成果を得られる予定である。
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テクノエイド協会(編),感覚器障害戦略研究聴覚障害児の療育等により言語能力等の発達を確保する手法の研究 聴覚障害児の日本語言語発達のために-ALADJINのすすめ-
ページ: 144-151
コミュニケーション障害学
巻: 28(2) ページ: 85-92