研究概要 |
注意欠陥/多動性障がいなどの発達障がい児は,机の下に入ったボールを取る時などに頭や腰を接触することが観察される。先行研究によると,運動機能の低い幼児は危険を回避することが難しく,通常では予測不可能な状況で事故や怪我に繋がることも報告されている。そのため,早急な対策が求められる深刻かつ最重要課題である。現在,発達障がい児の知覚・注意・認知・運動の各機能に対して机上検査や行動観察による評価が主体となっており,接触事故などの特異的な課題に対して理論的裏付けをもって的確な指導を行うことが難しい。そこで,発達障がい児が安全に過ごすための知覚・認知・運動評価および改善方法を提案するために,発達障がい児の精神および身体特性を明らかにすることを目的とする。昨年度までに,健常成人を対象に視覚的注意機能と反応速度を主とした運動能力の関係性を検証した。 本年度は,幼児に対して注意機能と運動能力の関係性を検証した。その結果,幼児の姿勢制御反応には注意機能が影響していることが示され,下肢による視覚性持続処理課題の反応性を評価することにより,より衝動性が高い児童を抽出することができる可能性を示唆した。 次年度は,健常児を対象とした計測・データ解析を継続するとともに,障がい児を対象とした計測・データ解析を行い,障がい児の身体特性を評価する予定としている。
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