単語の読みは、文字から音の変換規則に基づく音韻ルートと単語全体の情報(視覚性語彙)に基づく語彙ルートの二つの処理過程が関与する。読み書き障害児において、語彙ルートの機能不全が読み困難に影響するため、語彙ルートの評価課題の開発とともに、その促進プログラムが求められている。 平成22年度では、語彙ルートの評価課題として有意味単語の音読課題を作成した。作成した音読課題は小学校1年生から6年生までを対象にパソコンを用いて個別に実施した。収集したデータについて、刺激提示から読み始めるまでの音読潜時を算出し、小学校各学年群における健常児の基準値を明らかにした。さらに意味的プライミング効果を用いた音読時間の促進条件について検討を行った。 支援プログラムの開発に関しては、視覚性語彙の形成を目的とし、個別に実施が可能となるような支援教材を作成した。読み書き障害事例を対象に、支援教材を用いた介入を実施し、その効果について検討を行った。
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