研究概要 |
ガロア点を用いた射影多様体の分類、ガロア点と周辺分野との関係の創出、という目的に関して、[1]Galois points for a non-reflexive plane curve of low degree,[2]On the number of Galois points for a plane curve in positive characteristic,IVという2本の論文を単著で著した。射影平面内の点Pが射影平面曲線に対するガロア点であるとは、Pからの点射影が呈する関数体の拡大がガロア拡大となるときにそのように言う。[1]においては、標数正のある種の平面有理曲線Cのガロア点の集合と、射影平面内のCの特異点以外のF_q-有理点の集合とが一致することを示した。このようにガロア点と有理点の配置が一致するような例は、本間正明氏(神奈川大学)により明らかにされたHermitian曲線と著者によるKlein4次曲線の2つしか知られておらず、第3の新たな例である。一方、この曲線とHermitian曲線は本間氏とBallico-Hefezが分類した'non-reflexive plane curve of low degree'という曲線のクラスに属する。そのクラスに属するすべての平面曲線に対して、ガロア点の分布を明らかにした。[2]においては、正標数の非特異平面曲線の内ガロア点の分布について、未解決で残っていた標数2の場合を完全に解決した。特に、標数2で次数dの平面曲線でガロア点をちょうどd個もつものを発見し、その定義方程式を決定した。この結果により、非特異平面曲線上のガロア点の個数の可能性は上から(d-1)^3+1,d,1,0となることがわかり、特に上位二位までの個数をもつ平面曲線の特徴づけが与えられた。また、外ガロア点の分布においてはd=p^e×mと表示したときe≧1の場合が未解決であるが、m≧3のときにその分布を明らかにした。より素朴にはガロア点を複数もつ例は知られているものが非常に少なく、今回の2作で2種の例を発見していることには意義がある。
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