研究概要 |
ガロア点を用いた射影多様体の分類理論の基盤となる本研究の中心的問題「正標数において非特異平面曲線のガロア点の個数を決定せよ」という問題を完全に解決した。標数をp≧0とし、次数dの既約平面曲線Cを考える。射影平面内の点PがCに対するガロア点であるとは、Pからの点射影が呈する関数体の拡大がガロア拡大となるときに言う。 まず標数p=2において、次数が2べきの非特異曲線についてガロア点の分布を明らかにした。クライン4次曲線はこの次数の仮定において最多のガロア点をもつことがわかった。さらにこの曲線を「ガロア点を複数もつ」という性質を保ちながら一般化し、そのガロア点の分布を明らかにした。一般化したものは特異点をもつが、複数のガロア点をもち、この種の新しい例を提示できたことになる。 次に、非特異平面曲線のガロア点の個数について未解決で残っていたすべての状況において、ガロア点の分布を明らかにした。非特異平面曲線の外にあるガロア点の個数は上から(d-1)^4+(d-1)^3+(d-1)^2,7,3,1,0となることがわかり、上位三位までの個数をもつ平面曲線の特徴づけを与えた。一位は次数dがpべきプラス1のフェルマー曲線として、二位はクライン4次曲線として特徴づけられる。 ガロア点と周辺分野との関係の創出、という目的に関して、本間正明氏、Seon Jeong Kim氏との共同研究により、ある種の平面曲線上の有理点を用いて構成される代数幾何符号の最小距離がグリースマ境界に到達することを示した。この曲線のガロア点の配置は有理点と一致することがわかっており、ガロア点・有理点・符号の関係が見出された例として大変興味深いと思われる。
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