ガロア点を用いた射影多様体の分類、ガロア点と周辺分野との関係の創出、という2つの目的のもと研究を行なった。(1)多様体の次元分ガロア点をもつ超曲面の分類、と(2)双対曲線のガロア点の存在性、について結果が得られた。 標数をp≧0とし、次数d の既約超曲面Vを考える。射影空間内の点PがVに対するガロア点であるとは、点Pからの射影が呈する関数体の拡大がガロア拡大となるときに言う。 (1)については、ガロア点が超曲面の次元分存在するとき、その定義方程式を完全に決定した。特に、この性質をもつ例は正標数にしか存在しないことがわかる。これは長谷川武博氏と著者によって得られた「ガロア点を無限個もつ平面曲線の決定」の高次元化に相当する。(2)は三浦敬氏(宇部高専)との共同研究である。(この研究は標数零で行なった。)「ガロア点をもつ平面曲線の双対曲線がガロア点をもつとき、その平面曲線はどのようなものか?自己双対曲線か?」という問題を提案し、ひとつの結果として「非特異曲線の双対曲線はガロア点をもたない」ことを示した。平面曲線の射影双対性を使うと「上記性質をもつ曲線は特異曲線である」ことが系として得られる。さらにガロア点による自己同型に「射影平面の自己同型に拡張できる」という性質をつけた場合には、自己双対曲線として最も有名な曲線として特徴づけられることを示した。以上により、提案した問題に一定の解答を与えた。この研究によりガロア点と双対曲線の新たな関係性が見出されたと言える。また9月には本研究課題への補助により山形大学理学部において「Workshop on Galois point and related topics」を開催した。ガロア点を中心に活発な議論が行われた。
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