研究概要 |
当初の研究計画通り,まずはO'Gradyの例の双有理幾何的構造についての研究を行い,10次元の例と6次元の例の両方に関して,それぞれに対応するDonaldson-Uhlenbeckコンパクト化の上の双有理幾何に関する研究をおこない,ある程度まとまった結果を得た.特に6次元の例に関しては,Donaldson-Uhlenbeckコンパクト化上の双有理幾何を完全に決定することができた.これらについては論文にまとめ投稿し,報告書執筆時点で査読中である.もう一つの主題である,既約シンプレクティック多様体の退化に関しては,具体例および一般論の両面から着手した.十分に有意な結果を得るには至っていないが,K3曲面の退化からくる,K3曲面の上の0次元スキームとして与えられる既約シンプレクティック多様体の退化のコホモロジーなどの具体的な計算を行い,また,既約シンプレクティック多様体の退化を論ずるにあたって,高次元代数幾何の一般論との関連で解決すべきいくつかの具体的な問題を見いだし,これらについて考察した.
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