研究課題
当研究課題の目的は、代数体のガロア群の構造や数論的不変量に関する岩澤理論的な未解決問題を、制限分岐ガロア拡大の問題として一般化・非可換化することにより、解決への新たなアプローチを模索し、その応用とともに岩澤理論の発展に貢献することであった.これまでの研究を基に、本年度は、Greenberg予想を改めて一般化した問題とその応用およびZ_p拡大上の馴分岐ガロア拡大についての発展的な研究を行った。前者については、主に文献購読と関連研究者からの情報収集により、従来の一般Greenberg予想研究の成果において、問題を予想として捉えるに十分な具体例が既に得られていることを発見した。問題に対する新たな具体例は得られなかったものの、その岩澤理論的考察を絡み目の分岐被覆の研究に応用し、トポロジー研究者との共同研究として、Greenberg予想の数論的トポロジーにおける類似問題の候補を提起することができた。さらに、その問題に対する判定法も与えると同時に、その過程において、絡み目の岩澤不変量がとり得る値を決定することができた。後者については、主に文献購読と研究集会等への参加を通して、馴分岐ガロア群の非可換構造と、岩澤理論の未解決問題との関連性を調査した。そこでの考察を基に、計算機による数値データの収集を行い、有理数体のZ_2拡大上の馴分岐pro-2ガロア群が、メタ巡回群となる新たな具体例を発見することができた。以上の研究から、ガロア群の非可換構造における分岐の様子とGreenberg予想型の現象との関連性を、より具体的に把握することができ、当研究課題の目的として、一応の満足のいく成果が得られたと思われる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Kyushu Journal of Mathematics
巻: vol.67, no.1 ページ: 215-226
DOI:10.2206/kyushujm.67.215
Mathematische Zeitschrift
巻: 273 ページ: 1161-1173
DOI 10.1007/s00209-012-1048-2