研究概要 |
ホップコモナド[A.Bruguieres and A.Virelizier, Hopf monads, Adv.Math., 215 no.2 (2007) 679-733]と*-自律コモナド[C.Pastro and R.Street, Closed categories, star-autonomy, andmonoidal comonads, J.Algebra 321 no.11 (2009) 3494-3520]の発見は、ホップ代数をコモナドの枠組みへと一般化する最近の進展と言える。しかしどちらのケースも、もう一方が満たすべき等式条件に違いが生じている。 ホシプ代数を扱う場合を例にとると、ホップコモナド(resp.*-自律コモナド)の表現の圏はリジッドな圏(*-自律コモナドの圏)となっている。最近では、ホップコモナドはホップ代数と同様に低次元位相幾何や量子不変量への応用がなされている。*-自律な圏は、リジッドな圏に比べて非常に弱い双対性しか持ち合わせていないが、*-自律コモナドはリジッドな圏の枠組みで定式化され-ると考えられる。特に最近発表した論文[Craig Pastro, Note on star-autonomous comonads, to appear in Theory and Application of Categories (2012)]では、ある状況下においてホップコモナドと同値であることを発見している。また補コモナドとよばれる構造は、ホップコモナド及び*-自律コモナドの一般化であって、そこに現れる双対性をより明示的に表すものとして最近定式化されている。本研究の目的は、このような構造における理論と応用をさらに推し進めることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A.幾つかの類似性を共有していながらも、*-自立コモナド([C.Pastro and R.Street, Closed categories, star-autonomy, andmonoidal comonads, J.Algebra 321 no.11 (2009) 3494-3520])とホップコモナド([A.Bruguieres and A.Virelizier, Hopf monads, Adv.Math., 215 no.2 (2007) 679-733])との正確な関係性は知られていなかった。そこで今年は論文"Noteonstar-autonomous comonads" (accepted to Theory and Applications of Categories (2012))を発表した。ここでの証明にはより一般的な設定が必要とされているが、これは先述の補コモナドに関する進展を導くという意味でも重要である。 B.以前執筆した論文[B.Day and C.Pastro, On endomorphism algebras of separable monoidal functors, Theor, Appli.Categ.22 (2009) 77-96]にて、ベクトル空間内のある種の関手の自己準同型代数について調べた(これは「淡中の再構成」と同様の結果と言える)。ここで得られた代数はvon Neumann core (von Neumann正則準群との関連から来ている)と呼ばれており、それはホップ代数とよく似ているがやや弱い構造を持つ。このような圏における「弱い条件」から、数多くの興味深い結果を得られることが分かってきた。(同様の手法で「淡中の再構成」は多種多様な圏に適用出来、それによって数多くの代数を提供出来る。)これについてはBrian Day氏(Macquarie University)と共同で、準備中の論文"On endomorphism algebras of functions with non-compact domain"の一つのトピックとして扱っている。
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