1 非特異平面曲線の自己同型群について研究した.次数4以上の非特異平面曲線の自己同型群は射影線形群の部分群になるので,2次元射影線形群の有限部分群の分類を利用することができる.その結果,次数4以上の非特異平面曲線の自己同型群は大きく分けて (a) 巡回群,(b) 1次元射影線形群の有限部分群の巡回拡大,(c) フェルマー型,(d) クライン型,(e) 2次元射影線形群の原始的有限部分群,の五種類に分類されることがわかり,群構造を決定することができた.さらに,この分類を用いて自己同型群の位数が大きい場合を詳しく調べ,特殊な曲線の分類を行った.その他,次数を固定したとき,最大位数の自己同型群をもつ曲線が(射影同値を除いて)ただ一つであることの簡単な証明を与えた.今後,正標数の場合や曲線が特異点をもつ場合,射影空間内の非特異超曲面の自己同型群の研究など,様々な一般化を行うことを考えている. 2 ヒルツェブルフ曲面上の曲線の自己同型群について,大渕朗氏と共同研究を行った.高橋剛氏により,そのような曲線の自己同型群はヒルツェブルフ曲面の自己同型群に延長されることが示されている.それを利用することにより,曲線の自己同型群の構造や位数の上限を決定することができた. 3 昨年度に引き続き,平面4次曲線の二重被覆のワイエルシュトラス半群として現れる数値的半群について米田二良氏と共同研究を行った.まず可能性のある数値的半群のリストを得た上で,非特異平面4次曲線の幾何学的な性質を利用することにより,ほとんどの半群を実現するような具体的な代数曲線を構成することができた.今後,残っている場合についても曲線の構成を行う予定である.
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