研究課題/領域番号 |
22740017
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
北臺 如法 広島工業大学, 工学部, 助教 (30511563)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 代数幾何学 / 正標数 / フロベニウス写像 / ベクトル束 / 半安定余接束 / 小平消滅定理 / 疑似乱数 / 有限体 |
研究概要 |
正標数の代数多様体上のベクトル束がフロベニウス写像による直像をとることで安定性が保たれるかどうかという問題と関連する問題について引き続き研究した。研究代表者が隅廣秀康氏との共同研究によりこれまでに得た、主に曲面の場合についてフロベニウス写像による直像の安定性に関する結果の中で、標準的フィルタ付けと呼ばれる列の次数部分の安定性の解析や半安定な余接束を持つ多様体が重要であった。しかし半安定な余接束を持つ多様体の例をあまり持っていないためその例あるいはフロベニウス写像による引き戻しで半安定性が崩れる余接束を持つ多様体の計算のための研究を行った。 さらに、正標数の代数学に関連して、伊藤浩行東京理科大学理工学部教授、宋慧玲氏との共同研究である、Artin-Schreier 塔という有限体の拡大列の上の積演算の構造を利用した、新しい疑似乱数生成法 AST の研究を引き続き行った。この疑似乱数生成法は、メルセンヌ・ツイスタに匹敵する非常に長い周期を持つことが出来、疑似乱数の「乱れ」度合いの統計的な検定ができるパッケージ TestU01 の結果も良好である。その周期の評価をさらに精密化させることと、その均等分布性を検証するための大規模計算用プログラムを開発した。 また、山形大学、高知大学、広島大学を訪れ、多くの代数幾何学者や代数学者との議論・情報交換・情報収集ができたことは非常に有益であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
半安定な余接束を持つ多様体あるいはフロベニウス写像による引き戻しで半安定性が崩れる余接束を持つ多様体の例の計算により、新しい例の発見には至っていないからである。しかし、一方で正標数の代数学の応用として興味深い疑似乱数生成法 AST に関して、周期と均等分布性についての研究をさらに進めることができた。総合的に見て、やや遅れていると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
正標数のベクトル束の研究に加えて、これまでに得られた疑似乱数生成法 AST に関する残された課題、周期性、均等分布性をこれまでに開発したプログラムを用いてさらに精密化させる研究を加えて研究を続けていく。
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