研究概要 |
数列a(n)を考え、x以下のすべての自然数nについてのa(n)の和をA(x)とする。一方a(n)を係数にもつディリクレ級数をF(s)とする。本研究ではF(s)に関数等式を仮定せず、それよりも弱い条件を与える。F(s)に与える条件を様々に変えた時、対応するA(x)の必要十分条件がどのように変わるのか調べ、F(s)の非収束領域での性質を決める要因をA(x)の観点から明らかにしていくことが本計画の目的である。関数g(x,m)の不定積分をg(x,m+1)とする。ここでmは非負整数。このとき関数列g(x,m)m=0,1,2,3,.....を考え、各g(x,m)のxについての評価を考えたとき|g(x,m)|がxのべき乗の定数倍以下になる事がいえたとする。この時のべき指数をα(m)とする。計画立案の当初は「A(x)から主要項を引いた誤差項をg(x,0)としたときに、m+1-α(m)→∞(m→∞)、ならばF(s)は全平面に解析接続できる」と「全平面に解析接続でき、加えて|F(s)|のある評価を仮定するならば、m+1-α(m)→∞(m→∞)」について証明ができていた。23年度は、この結果についてさらに精査し、そのような関数列g(x,m)の存在が言えた場合。一意に確定することを証明できだ。これは当初予想していなかった事柄であり、大変興味深い現象に思える。これらの成果は論文として、雑誌Publications del'Institut Mathematiqueに掲載予定である。また計画当初はm+1-α(m)に注目していたが、考察の過程で次第に分かってきたことはα(m)/mの上極限の観点から論じるほうが、本質をより鮮明に記述するのではないかという点である。23年度はα(m)/mの上極限に注目した命題を設定し、十分条件は証明できた。しかし必要条件のほうが証明できていない。次年度以降への課題である。
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