研究概要 |
数列a(n)を考え、x以下のすべての自然数nについてのa(n)の和をA(x)とする。その一方でa(n)を係数にもつディリクレ級数をF(s)とする。F(s)の非収束領域での性質を決める要因をA(x)の観点から明らかにしていくことが本計画の目的である。xの関数g(x,m)の不定積分をg(x,m+1)とする。ここでmは非負整数である。このとき関数列 g(x,m) m=0,1,2,3,…を考え、各g(x,m)のxについての評価を考えたとき|g(x,m)|がxのべき乗の定数倍以下になる事がいえたとする。この時のべき乗指数をα(m)とする。計画当初は「A(x)から主要項を引いた誤差関数をg(x,0)としたときに、m+1-α(m) →∞(m→∞)ならばF(s)は複素平面Cに有理型関数に解析接続できる」と「複素平面Cに解析接続でき、加えて|F(s)|のある評価を仮定するならば、m+1-α(m) →∞(m→∞)」について証明ができていた。計画当初に注目していたm+1-α(m)→∞(m→∞)という条件はディリクレ級数が複素平面Cまで有理型関数に解析接続できるための基準となるものである。平成24年度は、これよりも少し強い条件としてα(m)/mの上極限が1より小さいという条件を設定し、その必要十分条件をF(s)の非収束領域での解析的性質の観点から記述することができた。必要十分条件で記述できたことで、その解析的性質を満たすF(s)の属するクラスを特徴づけることができたといえる。この他には、A(x)の誤差関数の不定積分の値をベルヌーイ数の類似ととらえた場合に、あるゼータ関数の非負整数値での特殊値と関連付けることができるという結果も得た。これらの成果を、平成24年秋に行われた京都大学数理解析研究所での研究集会で発表した。また現在、論文投稿作業の準備にも入っている。
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