Erez Lapid 氏(Weizmann 科学研究所)、Zhengyu Mao 氏(Rutgers 大)と共同で、形式次数予想の研究を行った。前年度までの Wee Teck Gan 氏(Singapore 国立大)との共同研究で得られた、形式次数予想とテータ対応の関係に関する結果と、Lapid、Mao 両氏によるシンプレクティック群の二重被覆上の保型形式の Whittaker 係数に関する研究を組み合わせることで、p進体上の奇数次特殊直交群の離散系列表現に関する形式次数予想の解決へのアプローチがあることが分かった。既に、生成超カスプ的という仮定の下、部分的な結果を得ることには成功し、予想の完全解決にも肉薄していると考えるが、証明の完了には至らなかった。 Wee Teck Gan 氏(Singapore 国立大)と共同で、局所 Gross-Prasad 予想とテータ対応に関する Prasad 予想の研究を行った。この二つの予想はともに、p進体上のユニタリ群の表現に関する分岐則の問題を、数論的不変量であるイプシロン因子を用いて記述するものである。シーソー等式を用いてこれら二つの予想を結びつけ、Beuzart-Plessis による先行結果と、大域的手法、特に Arthur による保型表現の重複度公式から、これらの予想が余次元1かつ緩増加の場合に従うことを証明した。 Kartik Prasanna氏(Michigan大)と四元数体上の保型形式の周期の研究を行った。目標としている周期関係式の証明に必要な初等的計算を逐次行うとともに、論文の執筆を開始した。
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