研究概要 |
ガロア逆問題における課題、与えられた有限群Gをガロア群とする体K上の拡大体「全体の構造の把握」及び「その具体的な構成」に関する研究を「生成的多項式」を用いて行った。生成的多項式は、その係数中のパラメータの特殊化によって、体K上のG-拡大全てを分解体として実現するパラメータ付き多項式である。体Kと有限群Gの組によっては、その存在自体が明らかではないものの、その構成の実現によってヒルベルトの既約性定理が成立する代数体K上等に於いては、G-拡大が無限に存在する事が保証され、Gに対するK上のガロア逆問題も肯定的に解決される。 ガロア群が可解群である5次の生成的多項式に対して、同型問題「パラメータの異なる特殊化による分解体がいつ一致するか」及び共通部分体問題「パラメータの異なる特殊化による分解体の共通部分を求めよ」の解を、多重分解多項式の分解のタイプを用いることによって与えた。この成果は三宅克哉氏との共著論文としてInt.J.Number Theoryより発表された。 また、生成的多項式の具体的構成のため、(一般)ネーター問題「n変数有理関数体への有限群Gの作用による不変体はK上純超越的か?」に関する研究を行った。M.Kang氏との共同研究として、涙れ対称群作用による不変体の純超越性をnが3,4,5の場合に示し、共著論文をPacific J.Math.から発表した。同型問題の解の応用として、定数項が±1でその根が単数をなす単純巡回多項式族に対して、3次、4次、6次、それぞれの場合に共通部分体問題の解を与え、付随するThue方程式族のある種の整数解を決定をした。これらの結果は現在論文投稿中である。
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