研究概要 |
北山秀隆氏(阪大)、山崎愛一氏(京大)との共同研究として、有限群の有理関数体への単項式作用による不変体の有理性に関する研究を行った。2次元の場合は有理的であることがHajja(1987)によって示され、3次元の場合も純単項式作用と呼ばれる特殊な状況下では有理的であることが、Hajja-Kang(1994)、Hoshi-Rikuna(2008)によって示されていた。また、代数閉体上ではKang-Prokhorov(2010)による結果等があった。我々は、一般の単項式作用に対して、3次元の場合に標数が2とは異なる一般の体上で、1つの例外を除いて有理性の問題を解決し、双有理分類を得た。これらの結果は、4次元単項的線形作用による不変体の有理性問題に応用可能である。実際、Rikuna(2004)、Plans(2007)が与えた、SL(2,3),GL(2,3)の作用による不変体は有理的である、という結果に対する別証が得られた。これらの結果は、Journal of Algebraから発表された。 三宅克哉氏との共同研究によって既に得られていたShanks's simplest cubic fieldsに対する同型問題の解が、付随する3次Thue方程式族の解の決定に応用できることを示し、その解を決定した。特に、異なるパラメータに対する最小分解体の一致と付随するThue方程式族の非自明解の間には1対3の対応があることを示し、その対応を明示的に与えた。この対応を岡崎龍太郎氏(同志社大)が既に得ていた、最小分解体の一致定理に適用することで、付随するThue方程式族の非自明解66個を与えた。この結果は、Journal of Number Thoeryから発表された。さらに、6次に対する一般化はFunctiones et Approximatio, Commentarii Mathematiciから出版予定となっている。
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