研究概要 |
3次元多様体のオープンブック分解と両立する接触構造のtight性の研究は,その構造が4次元多様体の複素構造から定まるものかを特徴づける重要な概念であり,特に複素特異点論におけるミルナー束と基本的なレベルで密接に関連している.今年度は、この枠組みの高次元化が可能かどうかについて考察した。東京理科大学の岡睦雄氏によりstrong lypolar weighted homogeneous な mixed多項式について、ある良い条件が満たされると、そのミルナー束が標準的な接触構造と両立することが示された。この例は一般次元のもので、準正曲面を考える上で参考になった。この話を踏まえて、標準的接触構造と両立するオープンブック分解に対し、そのsuspensionにより得られるオープンブック分解も標準的接触構造と両立することが分かりつつある. また,埼玉大の下川航也氏およびカリフォルニア州立大学チコ校のThomas Mattman氏との共同研究として,結び目補空間の基本群のSL(2,C)表現から定まるA多項式と呼ばれる結び目不変量について,結び目がある特殊なタングル分解をもつと、そのA多項式はその1つのタングルから得られる結び目のA多項式を因子として含むことを示すことができた.これはA多項式という計算の難しい対象の特徴を図式から導きだすもので、極めて珍しい結果といえる.
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