複素2次元ベクトル空間内で、原点からの距離が1である点の集合は3次元球面となる。この3次元球面S上の点xにおける接平面Hを複素構造Jを使って回転させたものをJHとすると、HとJHの共通部分はSの接平面内の2次元平面となる。点xをS上で動かして得られるこのような平面の集まり(つまり平面場)を3次元球面の標準的接触構造という。本研究では、複素多項式とその複素共役多項式の積で与えられる多項式写像の孤立特異点のミルナー束について、それと両立する接触構造が標準的接触構造でないことを示した。複素多項式のミルナー束は常に標準的接触構造と両立することから、複素共役が混ざることでミルナー束の接触構造が変化することが観察できる。
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