研究概要 |
トポロジーにおいて,特性類は決定的な役割を果たしてきた.多様体が複素構造や葉層構造のようなより精密な構造を持つとき,その構造を感知するより精密な特性類(二次特性類)が必要になる.二次特性類は,その精密さゆえに,数論幾何,ゲージ場の物理のような様々な場所に思いがけず現れ,重要な役割を果たす.本年度は,特に代表的な二次不変量であるチャーン・サイモン不変量や双曲体積に関連して,研究を行った.特に,前年度に山崎雅人氏との共同研究において発見した三次元ゲージ理論と三次元双曲幾何の新しい対応,三次元多様体の双曲構造の方程式がまったく別の三次元多様体上のゲージ理論の分配関数から導かれることなどを出発点にして,長尾健太郎氏と山崎雅人氏との共同研究でクラスター代数と3次元多様体の双曲構造の間の新しい関係を証明した.また,四次元ゲージ理論の指数が思いがけず特別な三次元双曲多様体やサークル・パターンを決定することを発見した.このことから,双曲幾何や離散幾何の方程式に四次元ゲージ理論からの新しい解釈を与えることができた.この成果を論文 Y. Terashima, M. Yamazaki, Emergent 3-manifolds from four dimensional superconformal indices, Phys. Rev. Lett. 109, (2012) 091602. として発表した.関連して,三次元多様体の数論的類似についての森下昌紀氏との共同研究についても新しい展開があった.
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