研究概要 |
本年度は以下の研究成果が得られた. (1)カラビ・ヤウ超曲面の量子コホモロジーの解析接続 いわゆるLG/CY対応においてカラビ・ヤウ超曲面のグロモフ・ウィッテン理論は対応する特異点(ランダウ・ギンズブルグ模型)に対するFJRW理論に解析接続されると予想されている.報告者はAlessandro Chiodo, Yongbin Ruan氏との共同研究において,種数0の理論(いわゆる量子コホモロジー)がお互いに解析接続されることを証明した.以前に報告者は量子コホモロジーに導来圏から定まるガンマ整構造を導入していた.本共同研究においては特異点のFJRW理論に対しても行列因子化の圏に付随するガンマ整構造を導入し,さらに二つのガンマ整構造の解析接続はOrlovによる導来同値から誘導されることを証明した.この結果はプレプリントとして2012年1月に発表した.FJRW理論はケーラーモジュライのある特定の特異点(Gepner点)の幾何学的解釈を与えるものとして重要である. (2)トーリック多様体のミラー変換のシンプレクティック不変量(Seidel元)による特徴づけ Eduardo Gonzalez氏との共同研究において,トーリックミラー変換をトーリック多様体へのトーラス作用から定まるSeidel元によって特徴づけた.Seidel元からミラー変換が,また逆にミラー変換からSeidel元が計算できる.Seide1元はGromov-Witten不変量の一種であり,A模型理論の言葉のみでB模型との繋がり(ミラー変換)が記述できるのは興味深い.
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