本年度は3年間にわたる研究のまとめにあたる年であり、Chromatic的手法とラムダ代数を用いながらAdams型スペクトル系列に関する研究を遂行した。 Chromatic的な手法に関連する研究としては、RavenelスペクトラムT(m)のAdams-Novikov E2項に関するいくつかの計算をおこなった。また、L2局所化した球面スペクトラムのGHMR分解列に関連するファイバー列の存在予想がBehrens-Ormsbyにより2012年11月に提出されたことを受けて、彼らの計算と下村克己(高知大学)によるChromatic E1項の計算の関連について2012年12月の高知ホモトピー論談話会で講演した。 ラムダ代数を用いた研究に関連する研究としては、加藤諒氏(名古屋大学)と共同で射影空間の安定ホモトピー群に収束するAdamsスペクトル系列のE2項を計算するためのラムダ代数を考察し、Cohen-Lin-Mahowald等による方法を改良して、Bockstein型のスペクトル系列とラムダ代数のフィルトレーションを併用した計算をおこなった。本テーマについては現在も研究を遂行中である。 また、スタンフォード大学で2012年7月に開催された国際シンポジウム「Algebraic Topology: Applications and New Directions」に参加し、内外の研究者とTMFやhigher real K-theoryなどの一般コホモロジー論に関する最近の結果について学術交流をおこなった。さらに、2012年11月には数論の研究者と共同で東京大学において研究集会SGAD2012を主催し、Landweber完全関手定理と楕円コホモロジー、topological modular formなどに関する講演をおこなった。
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