研究概要 |
本研究の目的は正則図形を用いて結び目や絡み目を研究することである。特に、正則図形として与えられた結び目や絡み目の型が自明か否かを判定することである。本年度は単純リボン操作という局所変形によって得られる結び目や絡み目について研究を行った.単純リボン操作は1型と2型に分かれるが,2型は結び目や非分離な絡み目の型を常に変える.さらにこのとき種数を増加させるので,結び目や非分離な絡み目から2型の単純リボン操作で得られた結び目や絡み目は非自明であることが分かる.さて1型の場合も結び目や絡み目の型が変われば種数は増加するので非自明であることが分かるが,型を変える必要十分条件は単純リボン操作に付随する単純リボンタングルが完全分離ではないことである.しかしながら与えられた単純リボンタングルが完全分離か否かを示すのは容易ではない.そこで昨年度の研究では単純リボンタングルに付随する絡み目(付随絡み目)を導入して,単純リボンタングルが完全分離であれば付随絡み目も完全分離であることを示した.本年度は本学の渋谷哲夫氏に協力していただき,付随絡み目を拡張した付随グラフを導入し,付随グラフが完全分離であることと,単純リボンタングルが完全分離であることが同値であることを示した.付随絡み目では判定には弱く,単純リボンタングルが完全分離であるための十分条件しか与えられなかったが,付随グラフに拡張することで必要十分条件を与えられたことは大きい.結果,完全分離であることを示せなかったいくつかの単純リボンタングルについて,完全分離であることを示すことができた.
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