本研究の目的は正則図形を用いて結び目や絡み目を研究することである。特に、正則図形として与えられた結び目や絡み目の型が自明か否かを判定することである。本年度は本学の渋谷哲夫氏と岸本健吾氏に協力していただき,これまでの2年間で導入・研究し発表した単純リボン操作の拡張である単純リボン融合を導入・研究した. 特に単純リボン融合と種数の関係について研究した.ここで鍵となるのはゴールドバーグによって導入された絡み目の分離数と(一般的な種数を精密化した)ν次種数である.主定理として単純リボン融合は絡み目の分離数を上げず,ν次種数は下げないことを示した.さらに等号成立(すなわち分離数が等しく,最大ν次種数が等しい)のための必要十分条件を自然な形で与えることができた(一般的な種数ではこのように自然な形で与えることができない).その結果自明な結び目や絡み目から単純リボン融合で得られた結び目や絡み目がいつ自明か否かが判定できるようになった.また単純リボン操作から単純リボン融合に拡張したことで,木下-寺坂結び目が非自明であることの簡単な証明を与えることができた. またリボン結び目やリボン絡み目から単純リボン融合で得られた結び目や絡み目もリボンになる.ここで全てのリボン結び目が自明な結び目から単純リボン融合で得られるかというのは自然な問題であるが,その反例となる結び目を無限個与えることができた. これらの結果は現在論文にまとめており,完成し次第専門誌に投稿する.
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