研究課題/領域番号 |
22740057
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
関口 良行 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (50434890)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 最適化問題 / 凸代数幾何 / 変分解析 / 関数解析 |
研究概要 |
非線形問題であるにも関わらず,多項式最適化問題には,局所最適値ではなく大域最適値を求めるアルゴリズムが存在する.一般的には,そのアルゴリズムでは無限個の半正定値計画問題を解く必要がある.しかし,ごく最近,最適化理論における 2 次の最適性条件とそのアルゴリズムの有限収束性(実際には,解く必要のある半正定値計画問題が有限個ということ)が密接な関係を持つことが分かった. 具体的には最適解において 2 次の最適性条件が満たされると,最適化問題の実行可能領域上で非負な多項式をある加群の元で表現でき,それからアルゴリズムの有限収束性が導かれる.通常は最適解において 2 次の最適性条件が成り立つかどうかはわからないが,この結果に終結式の理論を組み合わせることで,ほとんどすべての (generic) 多項式最適化問題は有限収束性を持つことが示される. 平成 24 年度の研究では,実数体上の非負多項式が,ある加群の元で表現可能かどうかを厳密判定するアルゴリズムを,強い条件を課すことで暫定的に得ることに成功した.また,SIAM Annual Meeting,University of Konstantz で開催された研究集会,九州大学で開催されたワークショップに参加し情報収集を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最適化問題にとって凸性とは最も重要な概念であるが,凸性の代数幾何的な研究が凸代数幾何という新しい分野を形成しつつある.また,凸代数幾何は直接的に最適化問題とつながりがあり,SIAM Annual Meeting などでは,様々な応用研究が成されており,様々な問題が提起されている. このことから,本研究課題の「多項式最適化問題と多項式環上の二次加群についての研究」で挙げた研究成果の更発展,関連研究への応用などが期待できる.実際に,実数体上の非負多項式が,ある加群の元で表現可能かどうかを厳密判定するアルゴリズムを,強い条件を課すことで暫定的に得ることに成功した. また,平成 23 年度に JST CREST グレブナー神戸スクールで学んだ結果,グレブナー基底を研究で用いることができるようになり,理論研究における手法の拡がり,数式処理ソフトによる結果の予想,吟味などが可能になった.また,SIAM Annual Meeting と University of Konstanz での研究集会への参加を通じて,他の研究者とのつながりができ,現在メイルによる議論を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
「多項式最適化問題と多項式環上の二次加群についての研究」を発展させて,最適性条件と多項式の表現定理との関係性を調べている.また,最適化理論との関連で長く研究されてきた分野に凸解析がある.代数幾何と最適化理論が関連を深めていることから,さらに一般的に代数幾何と凸解析を結びつける研究に発展させて行く.
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