研究課題の最終年度であり総括と成果発表に努めた。研究期間に、様々な一般的状況下における最小求積公式の非存在定理を証明した。一方、4次元空間上で次数5の最小公式を新たに発見した。以上の結果は、最小求積公式が有限個の例外を除いて一般的には存在しないであろうという予想の正当性を示唆するものと見なすこともできるが、完全な結論には至らなかった。一連の成果を、「日本数学会2013年会 統計数学分科会」(於 京都大学)と、日本応用数理学会・日本数学会応用数学分科会が共催する「応用数学合同研究集会」(於 龍谷大学)において基調・特別講演として発表した(13.研究発表 [学会発表]を参照)。後続研究へ結びつくことに期待し、改めて最小求積公式の非存在予想(を若干修正したバージョン)を「日本数学会2013年会 統計数学分科会」の予稿集にて明確に提示した。 立体求積公式論の今後の理論展開の可能性も模索した。具体的には、球面上の一様測度に関する立体求積公式を、ヒルベルト恒等式というある種の代数的恒等式、有限次元のバナッハ空間上の等長埋め込み、さらには最適実験計画の点配置等の観点から代数的に、関数解析的に、統計的に捉え直し,そこから幾つかの新たな知見を得た。立体求積公式論を通じて、これまで十分に認識されてこなかった(我が国において)代数、解析、統計の相互関係について、新しい研究の流れを創出する糸口が見出されたように思う。
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