研究概要 |
今年度は様々な研究成果が得られたため、それぞれの内容について以下に簡潔に記す。1.2部グラフにおける長いサイクルの存在に関して、Jacksonによる最小次数を用いた最長サイクルの長さを保証する定理を改良し、非隣接2頂点の次数和を用いた定理が得られた。2.k-連結F-freeグラフ(G_k(F)と書く)の集合が有限となるようなグラフの集合Fについて調べ、任意のk≧2に対し|F|=1、2の時にG_k(F)が有限となるための必要十分条件を得た。また、|F|=2の場合にG_2(F)からG_6(F)までのそれぞれが、|F|=3の場合にG_2(F)が有限となるようなFをそれぞれ決定した。3.3-連結ライングラフがハミルトンサイクルを持つために必要な禁止部分グラフの条件について調べ、任意の3-連結B_<s,9-s>-freeライングラフがハミルトンサイクルを持つことを示した。これは3-連結K_<1,3>-フリーグラフがハミルトンサイクルを持つために必要な禁止部分グラフの完全決定に大きく寄与するものである。4.頂点数が2m+2以上の偶数であるグラフGにおいて「m本からなる辺の集合Mで、どの2辺も距離がd以上離れているようなもの」をどのように選んでもMを含むような完全マッチングが存在する時、Gはdistance d m-extendableであると言う。AldredとPlummerは、平面上・射影平面上の5-連結三角形分割は任意のmに対してdistance 5 m-extendableであることを示したが、本研究では同様の事実がトーラス上の三角形分割において成り立つことが示された。以上のように、今年度の研究では多方面にわたる様々な研究成果が得られた。
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