研究課題/領域番号 |
22740071
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
佐藤 圭子 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (30366439)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | HIV-1env遺伝子 / 符号構造 / 符号理論 |
研究概要 |
本研究では,HIV-1(human immunodeficiency virus type 1)感染症患者から長期的に得られたenv遺伝子V3領域の塩基配列と情報通信における様々な人工的な符号との近さを測り,その塩基配列が感染症過程をとおしてどのような符号構造を有するのかを理解することを目的としている. 24年度においては,集めたHIV-1V3領域の塩基配列を様々な符号化法によって加工し,人工的な符号を作り上げてきた.これは23年度から継続して行っているものである.さらに,24年度はHIV-1感染症患者のV3領域の符号構造が感染症過程をとおしてどのように変化するのか,また,どのような符号構造をもったV3領域が病期の進行に関わっているのかを調べるのに重きを置いてきた.そして,25年度は符号構造という観点から,HIV-1の進化を捉えたり,分類を行ったりして,HIV-1の全体像を理解していきたい. 本研究は,HIV-1のV3領域の塩基配列と様々な情報通信における人工的な符号との類似を調べ,その塩基配列の符号が持っている構造,性質を明らかにして,HIV-1の全体像を理解しようとするものである.このように,対象とするデータを情報論的に解析して生命の全体像を理解する研究は少ないが,情報のやりとりと深く関わっている生命現象を理解するために,本研究は重要な研究の一つであると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々なHIV-1感染症患者のHIV-1のenv遺伝子V3領域の符号構造をおおむね順調に調べることができている.また,残りの研究期間で患者をその構造や性質によって分類できると思われる.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに本研究で使用できるように作り上げてきた塩基配列の符号化法を使い、HIV-1のV3領域の塩基配列と情報通信における様々な人工的な符号との類似を調べることにより、その塩基配列の符号が持っている構造を明らかにする。そして、その符号構造という観点からHIV-1の分類を行うことに努める。 現在、HIV-1のサブタイプの違いにより、HIV-1の標的細胞への侵入に深く関わるV3領域の形態が異なることが報告されている。サブタイプごとにHIV-1V3領域の符号構造は異なるであろうか。それとも符号構造によりHIV-1の新たな分類ができるのであろうか。そして、HIV-1のV3領域は感染症過程をとおしてどのように符号構造が変化していくのか,また,どのような符号構造をもったV3領域が病期の進行に関わっているのかといった点を明らかにしていくことで、HIV-1の全体像を理解していきたい。
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