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2010 年度 実績報告書

誤差項に非対称分布を仮定した円周上の確率過程の理論とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 22740076
研究機関統計数理研究所

研究代表者

加藤 昇吾  統計数理研究所, 数理・推論研究系, 助教 (60468535)

キーワード統計数学 / 確率過程 / 円周上のデータ / 非対称分布 / 自己回帰過程
研究概要

ある地点における1時間毎の風向を記録したデータや、渡り鳥の移動方向を一定時間おきに記録したデータは、個々の観測が円周上の点として表されることから、円周上に値をとる時系列データとみなすことができる。本研究では、3年間に渡り、Kato(2009)による円周上のマルコフ過程の拡張として、誤差項に非対称分布を仮定した円周上の自己回帰過程を提案し、その統計的性質の考察と気象データへの応用を行う。1年目にあたる平成22年度には、誤差項に対称分布を仮定した円周上の自己回帰過程の構築を行った。自己回帰過程の構築においては、Fisher and Lee(1994)によるリンク関数を用いた円周上の自己回帰過程の導出法を利用し、リンク関数に正接関数を仮定することで自己回帰過程を導出した。また誤差分布としては、本年度の段階では対称分布であるWrapped Cauchy分布を仮定した。この自己回帰過程はKato(2009)によるマルコフ過程の1つの拡張となっている。つまり、Kato(2009)のモデルでは、過去の状態を所与としたときの時間t+1の状態W_<t+1>の条件付き分布が、時間tの状態W_tにのみ依存するモデルであったのが、今回のモデルではより一般に、W_t,W_<t-1>.....W_<t-p>に依存する拡張モデルとなっている。この自己回帰過程は、時間tにおける分布がWrapped Cauchy分布になるなどの解析的に扱いやすい幾つかの性質が成り立つことを示すことができた。また、自己回帰過程の挙動についても考察を行い、パラメータの解釈についても議論を行った。その結果、本研究で提案されたモデルを応用することにより、既存のモデルは記述できなかった時系列における現象を記述することが可能となることがわかった。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A Markov process for circular data2010

    • 著者名/発表者名
      Kato, S.
    • 雑誌名

      Journal of the Royal Statistical Society, Series B (Statistical Methodology)

      巻: 72 ページ: 655-672

    • DOI

      doi:10.1111/j.1467-9868.2010.00748.x.

    • 査読あり
  • [学会発表] A Markov process for circular data2011

    • 著者名/発表者名
      Kato, S.
    • 学会等名
      Meiji University Global COE Program-Mathematical Sciences Based on Modeling, Analysis and Simulation Seminar
    • 発表場所
      明治大学,川崎,日本
    • 年月日
      2011-02-24
  • [学会発表] A distribution for a pair of unit vectors generated by Brownian motion2011

    • 著者名/発表者名
      加藤昇吾
    • 学会等名
      今野・梶原研究室セミナー
    • 発表場所
      横浜国立大学,横浜,日本
    • 年月日
      2011-02-08
  • [学会発表] A family of distributions on the circle with links to Mobius transformation2010

    • 著者名/発表者名
      加藤昇吾, Jones, M.C.
    • 学会等名
      日本数学会 2010年度 秋季総合分科会
    • 発表場所
      名古屋大学,名古屋,日本
    • 年月日
      2010-09-24
  • [学会発表] 角度データの回帰分析2010

    • 著者名/発表者名
      加藤昇吾
    • 学会等名
      統計数理研究所 共同利用研究集会「生物群集の多様性と統計数理」
    • 発表場所
      統計数理研究所,立川,日本
    • 年月日
      2010-09-14
  • [学会発表] 円周上に値をとるマルコフ過程2010

    • 著者名/発表者名
      加藤昇吾
    • 学会等名
      統計数理セミナー
    • 発表場所
      統計数理研究所,立川,日本
    • 年月日
      2010-05-19
  • [学会発表] A Markov process for circular data2010

    • 著者名/発表者名
      加藤昇吾
    • 学会等名
      統計数学セミナー
    • 発表場所
      東京大学,東京,日本
    • 年月日
      2010-04-28
  • [備考]

    • URL

      http://www.ism.ac.jp/souran/kenkyusya/kato_shogo.html

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公開日: 2012-07-19  

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