本年度は、前年度までの量子測定の順序構造による研究をうけて、逐次測定に関する研究を行った。具体的な成果は以下の通りである。物理量の測定は、必然的に状態を攪乱してしまうことは良く知られている。いま、物理量Aを測定した場合を考える。すると、その後に(他の)物理量Bを測定した場合に得る結果(確率分布)は、物理量Aの測定を経なかった場合とは一般に異なってしまう。ところで、この擾乱を補うように、物理量B'をうまく調整して測定することで、元の物理量Bの測定結果を得ることは可能だろうか。無論、AとBは同時測定可能な物理量でなければならないが、実はAとBが同時測定可能である限りは、この答えはYesである。さらに驚くべきことに、初めのAの測定で、Aと同時測定可能などんな物理量Bに対しても、攪乱を補うB'が存在するようなものが存在する。つまり、Aの測定で必要最小限しか情報を取り出さず、擾乱を与えないものが存在する。これをユニバーサルな測定と我々は呼んでいる。
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