研究概要 |
特異空間であるAlexandrov空間上の熱流について,N.Gigli氏(Nice大)および太田慎一氏(京大)らとの共同研究を進めた.この場合,熱流にはDirichler形式と確率測度の空間上の勾配流との,2通りの構成法が知られていた.本共同研究では,空間の特異性を許容する新手法により,この2つの熱流が一致する事を示した.応用として,熱核のLipschitz連続性など状態空間の滑らかさが保証されていない場合には非常に困難とされる評価を導いた. また,Ricci流を含む,時間依存計量を持つ多様体上の拡散過程のカップリングについて研究した.カップリング構成法として知られていたランダムウォーク近似がこの場合にも有効であることを示した.またR.Philipowski氏(ボン大)との共同研究により,PerelmanのL-汎関数の熱流のもとでの単調非増大性を,前述の方法の応用として示し,Ricci流の解析に対する確率論的アプローチの有効性を明らかにした.
|