研究課題
M. Erbar氏,K.-T.Sturm氏との共同研究により,既知の「Ricci曲率の下限と次元の上限が存在する」という性質の,(より適用範囲の広い)言い換えである曲率次元条件について,熱分布の微分評価による解析的定式化との同値性を一般の測度距離空間の枠組みで示した.この同値性を満たすために,2条件を橋渡しする幾つかの新しい(同値)条件を提唱し,それらの間の関係について詳細な解析を加えることで,この対応関係を示した.更に,導入した新しい条件の副産物として,曲率次元条件に関連する新たな関数不等式を幾つか発見した.これらは条件が次元パラメータに依存しない場合の結果の精密化に相当し,今後のより精密な解析が期待される.Ricci流の下での確率解析について,天羽隆史氏(立命館大学)との共同研究を継続し,論文をほぼ書き終える段階に至った.Lott氏により導入された新しい時空間経路空間上の汎関数が定める最適輸送費用が熱分布に対しては時間について非増加になることを示した.また,カップリングを(汎)関数に代入した量の可積分性が,弱い仮定の下で検証可能であることを明らかにした.これによって,先行研究での議論の誤りを修正することができた.これらの結果について国内外の研究集会で発表,および関連分野の研究者と議論し,広く関心を得ている.特に曲率次元条件に関する成果は当該分野の研究者に大きなインパクトを与え,既に,この成果に基づき測度距離空間上の幾何解析に着手した新たな研究論文が幾つも現れている.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件)
Potential Analysis
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