研究概要 |
完全非線形の楕円型・放物型偏微分方程式に対し,その境界値問題の可解性および解の性質について研究を行っている。本年度行った研究は以下の通りである。 (1) 昨年度に引き続き,平均曲率流型の準線形放物型方程式について研究を行った。ポテンシャル項が付いたより一般的な準線形放物型方程式に対して,正値定常解の解構造および放物型方程式の解の時間無限大における挙動について考察した。その結果をまとめた論文がNonlinear Analysisに掲載された。(S. Cano-Casanova氏(Comillas大学),J. Lopez-Gomez氏(Complutense大学)との共同研究) (2) k次基本対称関数(k=1,…,n,ここでnは空間次元)により定まる曲率方程式(以下,k-曲率方程式と呼ぶ)について研究を行った。与えられた領域の境界に近づくとき解が正の無限大に発散するという境界条件(境界爆発条件)を課したk-曲率方程式については,粘性解のクラスにおける解の存在・非存在,および境界付近における解の挙動に関する結果は既に得られているが,本年度は解の一意性に関する解析を行った。解の一意性についての結果は,k-曲率方程式の特別な場合である平均曲率方程式(k=1)に対しても新しいものである。その結果をまとめた論文がJournal of Mathematical Analysis and Applicationsに掲載された。(中森さおり氏(広島大学)との共同研究) (3) 極小曲面に関するBernsteinの定理の類似物が,ある種の完全非線形偏微分方程式に対しても成立するかどうかを考察した。得られた研究結果をまとめた論文は投稿準備中である。(中森さおり氏(広島大学)との共同研究)
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