研究概要 |
研究の目的は, 2重冪型非線形シュレディンガー方程式を含むような, 広いクラスの非線形シュレディンガー方程式に対して, 定在波解や基底状態の存在を示す事, および, 解の挙動を散乱・爆発の観点から明らかにする事であった. 上記の目的に対し, 次のような結果を得た: 1 エネルギー劣臨界の場合に, これまでに知られている仮定より弱い非線形性に対する仮定の下で, 爆発および散乱する摂動方向を持つ不安定な基底状態の存在を示した. 特に, 単調でない非線形性の場合も含むため, 幅広い非線形分散型方程式に応用できると考えている. また, 非線形性に対する仮定が弱いため, 通常のプロファイル分解を利用しただけでは, 背理法の議論の中で最小爆発解の存在を示すことができない. この困難を克服するために用いた議論は, 解析手法の観点から, 意義があると考えている. 2 エネルギー臨界非線形シュレディンガー方程式に, エネルギー劣臨界の摂動を加えた方程式を考察した. 特に, 摂動に対する比較的一般的な仮定のもとに, 不安定な基底状態の存在, および, 解の散乱に対する結果を得た. 具体的には, 昨年度までに発展させた手法を用い, 基底状態を, ある種の変分問題のミニマイザーとして見つけた. さらに, その基底状態を利用して構成したポテンシャルの井戸から出発した解が散乱することを証明した.
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