研究課題/領域番号 |
22740107
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
竹村 剛一 中央大学, 理工学部, 准教授 (10326069)
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キーワード | ホインの微分方程式 / ミドルコンボルーション / オイラー積分変換 / みかけの特異点 / 積分表示 / 不確定特異点 / パンルヴェ方程式 / 可積分系 |
研究概要 |
ガウスの超幾何微分方程式は、複素平面に無限遠点を付加したリーマン球面上で3点に確定特異点をもつ2階の線型微分方程式の標準系であるが、数学のさまざまな対象のみならず物理学の幾多もの模型に関連しており、非常に重要な対象である。これの一般化として、一つは特異点の数を4つに増やしたホインの微分方程式というものが考えられ、他には微分の階数を上げた一般超幾何微分方程式が考えられる。ホインの微分方程式はリジッド(局所構造が全体を決定する)でないが階数は2であり、一般超幾何微分方程式はリジッドであるが高階である。 2011年度は、ホインの微分方程式と一般超幾何微分方程式の双方にわたる成果を上げることができた。その背景にはミドルコンボルーションを生じさせる積分変換に関する結果がある。 微分方程式の確定特異点にはみかけの特異点(apparent singularity)と呼ばれる特別な状況がある。これは、その特異点において解は分岐をもたないということで特徴付けがなされる。ホインの微分方程式において、4つの特異点のうち1つがみかけの特異点である状況を考えると、一般超幾何微分方程式の特別な可約な場合において因子分解したときの右因子としてこのホイン型の微分作用素が現れることがいくつかの場合に観察された。研究発表の欄に記した論文において、この観察を予想として定式化し、いくつかの場合にはこの予想が正しいことを示した。また、例外ヤコビ多項式と呼ばれる直交多項式系に対してホインの微分方程式の研究を応用し、これと一般超幾何関数との関係を明示した。 また、ストックホルムのEdwin Langmann氏と量子可積分系と積分変換に関する共同研究をすすめ、ホインの微分方程式での結果を一般化するような成果が得られつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホインの微分方程式に対して、ミドルコンボルーションとの関係を念頭におくことで研究が想定以上に進展したが、不確定特異点を含む場合のミドルコンボルーションに関しては、当初の予定ほどには研究がすすんではいない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、不確定特異点を含む場合のミドルコンボルーションにおいても、より一層研究をすすめていく。このために、集中力をもって研究に取り組む必要があろう。
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