パンルヴェ方程式は2階の非線形常微分方程式であるが、動く特異点は極しかもたないという性質で特徴付けられており、一型から六型まで名前がついている。一方、パンルヴェ方程式の差分方程式版(離散版)も考えられており、対称性を中心として研究されている。さらに、差分パンルヴェ方程式から超離散化を考えることができ、超離散方程式はセルラーオートマトンとみなすことができる。この超離散パンルヴェ方程式について、成果を得ることができた。報告者は筒井氏とともに差分パンルヴェ第六方程式の符号付き超離散化を行い、超幾何型の解(リッカチ解)との関連を研究してきた。そして一般的な解の漸近挙動についての予想を立て、いくつかの場合に数値的にその予想が妥当なことを示した。 また、多添字直交多項式についても研究をすすめた。古典的な直交多項式としてヤコビ多項式やラゲール多項式があるが、これらを固有関数としてもつ量子力学の模型は20世紀前半から考えられてきた。これらにDarboux-Crum変換を適用することで新たな模型を導入することができ、固有関数として得られる多添字ヤコビ多項式や多添字ラゲール多項式が多添字直交多項式の主要な例である。多添字ヤコビ多項式の間には、添え字やパラメーターが異なっていても多項式として一致する例がいくつもあり、佐々木隆氏とC.-L. Ho氏との共著論文にて発表したものもある。この方向で研究をさらに突き進め、多添字ヤコビ多項式の間の組織的な等式を導出した。
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