研究概要 |
本研究は、近・中間赤外分光観測に基づいて、新星・超新星爆発、ウォルフライエ(Wolf-Rayet;WR)連星系による固体微小粒子(ダスト)の形成過程を解明し、その組成や質量の系統的評価を行うことを目的とする研究課題である。22年度においては、(1)"超新星爆発に伴う放出ガス中でのダスト形成"に関する観測的研究について、あかり衛星phase3期の採択課題で得られたデータの解析処理を進めた。(2)"Wolf-rayet連星系のダスト形成"に関する研究については、すばる望遠鏡共同利用観測(S09B期、S10A期、S11A期;PI.左近樹)に観測提案を行い、提案したすべての時期におけるデータ取得に成功し、そのデータ処理を完了させた。この観測結果のうち、特に初期のデータに関する研究成果はSakon et al.2010,Ast.Soc.India,Conf.Ser.1,49-55に発表した。(3)"新星によるダスト形成"の研究については、あかり衛星phase 3II期の採択課題で得られたデータ解析処理と、すばる-Gemini望遠鏡時間交換枠の採択課題(GS-2010B-C-7;PI.左近樹)のデータ取得及び解析を完了した。それらの結果を踏まえて,固体微粒子の生成過程を理論的に扱う研究チーム(東京大学;IPMUなど)、ガスの固体凝縮を実験的に扱う研究チーム(東北大学など)、新星の理論研究チーム(東京大学、慶応大学など)との研究協調のもとで、データの解釈に関する詳細な議論を進展させている。
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