研究課題/領域番号 |
22740117
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
浅野 勝晃 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (80399279)
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キーワード | 最高エネルギー宇宙線 / ガンマ線バースト / 活動銀河核 |
研究概要 |
平成23年度の研究達成目標は、観測されているガンマ線バーストのスペクトルの時間発展を説明するために、プラズマの時間発展シミュレーションコードの開発を行うことであった。ほぼ計画通りに研究を進めることができ、プラズマの加熱・冷却、粒子注入、放射を首尾一貫して計算できるコードを開発し、数値シミュレーションを行った。その結果、非常に磁場が弱ければ、観測されている光度曲線と似た振る舞いをすることを示す事に成功し、これらの結果は論文としてまとめられた。年度の前半は電子のみを注入して計算してきたが、最高エネルギー宇宙線との関連を探るべく、年度後半から、加速陽子の寄与を数値計算コードに実装する試に取組んできた。現段階で既にコードは完成し、国際会議や学会などで、この陽子実装コードの結果を発表している。電子加速だけでは不十分だった、高エネルギー放射の遅延が、この陽子加速モデルでは再現され、大変興味深い結果となっている。将来の地上チェレンコフ望遠鏡などでバーストを観測できれば、最高エネルギー宇宙線加速の兆候をつかめるかもしれない。現在、これらの結果をまとめて論文準備中である。一方、共同研究者との研究では、陽子注入に加え、電子の二次フェルミ加速の効果についてシミュレーションを行った結果も論文として発表された。こうした二次加速が起きる条件としての、プラズマ乱流に関するMHDシミュレーションも共同研究者によって行われ、相補的な結果として発表されている。 また、ガンマ線バースト以外の天体への応用も去年の目標の一つであったが、実際に活動銀河核ジェット用へのコード改造も行われた。大阪大学の高原教授らと研究打合せを行い、ちょうど研究が始まったところで、次年度での結果として大変期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で述べた、時間発展シミュレーションの開発、その結果の論文可、会議での発表などが達成されている。ただし最高エネルギー宇宙線源の兆候をつかむためには、観測的に新しい結果が必要であり、Fermi衛星によるバースト検出率が最近あまりよくない事から、観測との比較が進めにくい状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね研究は順調に推移しており、このまま数値計算コードの開発、シミュレーションの実行などを行っていく予定である。共同研究者との議論も活発に行われており、これらも継続していきたい。特に二次フェルミ加速の効果は、活動銀河核ジェットなどの分野でも話題になっており、是非こうした効果を取り入れた放射を数値シミュレーションで再現したい。
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