幾つかのガンマ線バーストからGeVガンマ線が検出されているが、その起源は謎であり、加速陽子起源の放射である可能性もある。今年度は、我々の時間発展シミュレーションコードに、高エネルギー陽子の反応をInstallすることに成功し、ガンマ線バーストの放射をシミュレーションした。放射スペクトルや各波長における光度曲線などを求める事ができた。このような過程に関する時間発展シミュレーションを行ったのは我々が最初である。現在の観測精度では、このGeV放射の起源を決定することはできないが、CTAなど、将来のより感度の高い検出器による観測によって、その詳細な光度曲線を得る事ができれば、我々の結果と比較することで、GeV放射の起源に迫る事ができると考えている。我々の結果はCTAチームにおいても重視されており、チームが出版したCTAによるガンマ線バースト観測に関する論文においても、我々の結果が議論されている。 こうした加速陽子起源のガンマ線には必ずニュートリノ放射が伴う。現在、IceCubeチームによってガンマ線バースト起源のニュートリノフラックスに制限がつけられている。我々は幾つかのモデルでニュートリノ放射を見積り、IceCubeのリミットよりも充分低いフラックスとなっていることを確認した。 これらの研究はガンマ線バーストにおける最高エネルギー宇宙線加速に迫る上で、重要なステップになっていると考えている。
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