研究課題
本研究では、2009年に国際宇宙ステーションに搭載され史上最高の感度で全天のX線天体を監視し続けている全天X線監視装置MAXIを利用し、「巨大バイナリブラックホール」の探査を行った。巨大バイナリブラックホールとは、合体直前で連星状態になった二つの巨大ブラックホールを銀河の中心に持つ活動銀河であり、巨大ブラックホールが合体を繰り返すことで形成された証拠となる重要な天体である。我々は、巨大バイナリブラックホールの観測的な証拠として、二つの巨大ブラックホール同士のケプラー回転で生じる周期的なX線光度変動に着目した。本年度は、昨年度までの研究で構築したMAXIによるX線源のカタログから、本研究での探査対象となる約50個の活動銀河を選択した。これらの活動銀河に対して、MAXIを用いた正確なX線測光の手法を確立し、3年以上にわたる長期間のX線光度曲線の取得に成功した。そして、得られた光度曲線をもとに、観測条件やデータ欠損の影響などを正確に取りんだ解析手法を構築し、研究の総仕上げとなる周期性の探査を行った。その結果、今回の候補天体の中からは周期変動をする活動銀河は発見できなかった。本研究を開始するにあたり、我々は巨大バイナリブラックホールの進化の理論に基づき、MAXIでは1個程度の京大バイナリブラックホールを検出できる可能性があると予想していた。したがって、今回の結果は巨大バイナリブラックホールの進化の理論に修正が必要であることを示唆しており、非常にインパクトが大きい。以上の結果をもとに、巨大バイナリブラックホールの発見には、より高い感度を持つ専用の観測装置が必要であることを痛感した。そこで、巨大バイナリブラックホール探査専用の超小型衛星ORBISを考案し、衛星の基礎設計を完了した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: 64 ページ: 119-1, 119-10
The Astrophysical Journal
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