研究課題/領域番号 |
22740128
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
端山 和大 国立天文台, 重力波プロジェクト推進室, 研究員 (70570646)
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キーワード | マルチメッセンジャー / 重力波 / データ解析 / X線天文学 / RXTE / LIGO |
研究概要 |
系外天体のうち最も強いX線を放射する低質量X線連星であるScoX-1からの重力波を新しい方法で探査する。重力波の放出にはX線等の電磁波、宇宙線が伴うことに着目して、アメリカの重力波望遠鏡LIGOとNASAの高時間解像度を持つX線望遠鏡RXTEを用いたマルチメッセンジャー観測を行う。両方の時系列データを用いたコインシデンス解析を行い、信頼性の高い重力波の初検出または上限値決定を行う。また、起源が分かるX線トランジェントが検出された場合、重力波観測と合わせてモデルの制限を行う。以上が本研究の目的である。 23年度は、X線衛星RXTEのSCO-X1の観測データと重力波望遠鏡LIGOのデータを解析するパイプラインのソフトウェアの細かな修正を行うと共に、その解析結果について統計的な考察を行った。現段階でX線トランジェントイベント候補と重力波トランジェントイベント候補がコインシデンスしているイベント候補は5つ見つかっており、その5つのイベントのバックグラウンドからのsignificanceを評価し、その結果検出されたコインシデンスイベントが重力波発見となるだけのsignificanceを有していないことが分かった。そこで、我々のサイエンスターゲットはScoX-1の伴星からの降着ガスが積み重なることによって主星の外殻が崩壊し、解放される重力エネルギーによってX線と重力波が同時に放射されるというモデルの制限と定めて、解析を推進して行く。重力波とX線データの同時解析による制限は世界初であり、重力波を用いたマルチメッセンジャー観測の基礎を築くという意味でも、本研究はサイエンスにとって重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
RXTEのデータを解析するために開発したソフトウェアのvaridationを行うのに、RXTE MITチームのメンバーの協力を得て進めている。その際、同一データの同一の処理を行うパートについて結果を比較しているのだが、担当者が忙しいこともあり、期待するほど進んでいない。またコラボレーション内で、私が行った解析結果のレヴューを行う手続きが順調に進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
解析結果のコラボレーション内でのレビューを受けられるように、積極的に働きかけることが非常に重要になる。基本的には解析は終了しているが、解析の詳細な部分での正当性をさらに示していくことを推進してゆく。
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