研究課題
本研究の目的は、系外天体のうち最も強いX線を放射する低質量X線連星であるSco X-1からの重力波を新しい方法で探査することである。具体的には重力波の放出にはX線等の電磁波が伴うことに着目して、アメリカの重力波望遠鏡LIGOとNASAの高時間解像度を持つX線望遠鏡RXTEを用いたマルチメッセンジャー観測を行った。両方の時系列データを用いたコインシデンス解析を行い、信頼性の高い重力波の初検出または上限値決定を行う。また、起源が分かるX線トランジェントが検出された場合、重力波観測と合わせてモデルの制限を行う。前年度までに、我々はRXTEのX線時系列データと、LIGOの重力波データを解析するパイプラインを構築し、解析パイプラインをデータに適用した。本年度は解析パイプラインの詳細をさらに精密にして、データ解析結果を正確に解釈できるようにつとめた。6月に1週間ほどイギリスのカーディフ大学の共同研究者であるChris Messengerを訪問し、RXTEグループメンバーのDuncan Gallowayを交えて議論した結果、X線のデータのキャリブレーション精度に問題がある事がわかりその部分の修正に多くの時間を割いた。その後改良した解析パイプラインを用いて再びX線トランジェントと重力波トランジェントとのコインシデンスイベントを5つ発見した。その結果を2012年9月にローマで行われたLIGO-Virgoコラボレーションミーティングで報告し、その際、ミーティング参加者と結果の解釈について議論を行った。結果として重力波と見なせるイベントは検出できなかったが、重力波とX線の同時放射イベントに関するアッパーリミットはつけられる結果を得た。今後はアッパーリミットに関して正確な値を求めてゆく。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)
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