研究概要 |
今年度は、当初の研究計画に対し、特にF,Ne同位体の低励起スペクトル及び、反応断面積の評価に集中して研究を行った。昨年度から今年度にかけ、Ne同位体に関して系統的な反応断面積の実験が行われ、最新の実験データが発表されたため、優先して取り組むべき課題であると判断したためである。 まず、F,Ne同位体の低励起スペクトルに関しては、反対称化分子動力学による研究を行い、F同位体での分子軌道状態の存在を予言し(誌上論文として発表済み)、また31Neに関して、詳細なスペクトルの予言を行った(論文投稿中)。さらにNe同位体のスペクトルの系統的な解析を行い、現在論文投稿準備中である。また、この研究成果からNe同位体の密度分布を求め、反応断面積の理論的評価を、九州大学の研究者らと協同で行い、観測された断面積の再現に成功した。さらに、観測された断面積を説明するためにはNe同位体の変形の効果が重要であり、さらに31Neでは1中性子ハロー構造が発達していることを、理論的に示した。これらの成果は2編の誌上論文として発表済みで有り、さらに1編を投稿中である。 さらに、上記課題に関連して、安定核である24Mgの励起スペクトルの詳細な研究を行った。この原子核は3軸非対称な変形をしていると考えられているが、完全微視的な理論模型による取り扱いはこれまで、十分に行われていない。反対称化分子動力学による解析を行った結果、正負パリティの両方に於いて、三軸非対称変形が重要な役割を果たすことを示し、誌上論文として発表した。
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