本研究の目的は現在世界最高の検出器体積を誇るIceCube検出器を用いて、10^<20>eVを超える超高エネルギー宇宙線からの超高エネルギーニュートリノを世界に先駆けて捕らえることで、未だ謎に包まれたままの超高エネルギー宇宙線の起源の解明に迫ることである。この目的のために、今まであまり活かされていなかった波形データ情報を用いた高精度のニュートリノ事象再構築を行ったり、現在の超高エネルギーニュートリノ探索において最も大きな系統誤差である氷の不定性を取り除く事等により超高エネルギーニュートリノに対する感度を上げる。 今年度は昨年度に作成した氷の性質を改善して作成したモンテカルロデータを用いて、超高エネルギーニュートリノ信号とバックグラウンドである大気ミューオン束により発せられる光量分布に違いがないかを検証した。その結果、運動方向の光量分布に違いが表れることが分かり、この違いを利用することで、信号をバックグラウンドから切り分けることができる事が分かった。 また、検出器の端を通過する事象に対しては再構築が上手くいかないことが分かっていたが、波形データを利用した再構築法を用いることにより正しく事象再構築が行えることが分かった。 現在、これらの改善されたデータ解析手法を用いて2010-2011年にIceCubeで取得されたデータを解析中である。期待される超高エネルギーニュートリノ信号は約1事象/年と求まった。
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