研究概要 |
平成22年度は、暗黒物質探索用液体キセノン検出器の位置再構成能力・分解能の較正装置の製作をおこなった。 較正装置は、直径12mm・長さ1500mmの円柱の先端にAm-241(60keV),Co-57(122keV)等の光源が取り付けられた無酸素銅製の棒と、それを駆動させるための直径0.3mmのステンレス製ワイヤー及びステッピングモータから成る。装置全体は、チェンバーの中に収められており、液体キセノン容器とつながっている。ステッピングモータはチェンバーの外側(大気側)に置かれ、回転導入機を通して動力をチェンバー内部に伝える。チェンバー内部はキセノンガスで満たされており、検出器の心臓部である液体キセノンともつながっているため、そこにおさめられた本較正装置は、グリス等を一切使用せず、ラドン等の放射性ガスの放出量の少ない部材のみで製作された。また、部材に含まれるU,Th,Co,K等の自然放射性物質の量もゲルマニウム検出器を用いて測定を行い、基準値以下の部材のみで製作された。 製作した較正装置を用いて、Am-241、Co-57等の光源を液体キセノン中に導入しデータ取得を行った。検出器のz軸上を10mmごとに移動させながらシンチレーション光の測定を行い検出器の光収集効率及び位置分解能の評価を行った。結果、液体キセノン検出器が非常に高い光収集量(約17pe/keV)をもち、モンテカルロシミュレーションで期待されていた通りの位置分解能を持つことが実験的に確認された。これにより、液体キセノン検出器を用いた暗黒物質探索実験が計画通りに遂行されることが可能となった。
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