本研究では、大強度重イオンビームの破砕反応で生成する不安定核の質量を測定することを目指し、飛行時間法を用いた不安定原子核の質量測定法を確立のための高時間分解能検出器およびイオン光学の開発研究を実施した。ビーム透過型で時間分解能の高い検出器として、200ミクロンのCVDダイヤモンド検出器を開発し、核子あたり300MeVの炭素ビームに対して30ps(σ)の分解能を得た。イオン光学開発では、実験装置中のイオンビームの飛行経路を測定することで、その情報を基に得たイオン光学行列要素からイオンビームの運動量を1/8100で決定することができた。以上2点の結果から、本質量測定法は、質量数50近傍の不安定核質量を数百keVの精度で決定できると評価された。
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