平成23年度においては、主に、 1.背景磁場の向きを様々に変えた場合の電磁粒子シミュレーション 2.衝撃波近傍での磁場生成や粒子加速をより長いスケールで見るためのハイブリッドシミュレーション を行った。1については、前年度までに開発したシミュレーションコードを用いて計算を行い、マッハ数が20程度の無衝突衝撃波において、磁場と衝撃波法線がなす角が10度程度以下の場合には、その構造は平行衝撃波の場合に近くなり下流領域でフィラメント状電流が作る磁場が卓越するのに対して、角度が30度程度以上になると垂直衝撃波に近い構造になり、下流では圧縮された背景磁場が優勢になること等を示した。2は、新たにハイブリッドシミュレーションのコードを開発してシミュレーションを行った。その結果、まずSugiyama(2011)で報告されたような、フェルミ加速と同様の加速が衝撃波近傍で起きることを確認し、加速粒子がプラズマ中に磁場の非常に乱れを作ることなどを示した。また、生成された磁場の乱れによる粒子の散乱は非常に効果的で、加速の効率も理論上の最良値に近くなることを示し、加速された粒子のエネルギースペクトルの形などについても詳しく調べた。これらの研究結果については、天文学会等で発表を行い、現在論文を執筆中である。なお、本年度は計算結果の解析・可視化用にコンピュータやソフトウェアを購入し、また学会等での成果発表のために旅費を使用した。 なお、本研究課題の内容は、近年技術発展が著しいレーザー実験装置を用いて実験的にも調べることが可能になりつつあり、その可能性等についても研究・考察を行った。これについても、学会等で発表を行い、関連論文も1報発表した(共著者)。
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