4次元で非自明な相互作用を持つ固定点を持つ可能性のある大きなフレーバー数を持つSU(N)ゲージ理論の固定点の存在を、格子ゲージ理論に基づくシミュレーションを用いて調べた。この格子シミュレーションの方法は、時空を格子化する事で第一原理から物理量を非摂動論的に計算でき、理論に対する実験的役割を担い、標準理論を超える模型の構築に予言を与える。 今年度は、フレーバー数12のSU(3)ゲージ理論について、ステップスケーリングの方法に従いrunning coupling constantを測定し、理論に非自明な相互作用を持つ固定点が存在するかを調べた。 現在の所、研究グループによって固定点の有無に関する結論が一致していない。私の研究によってそれは離散化誤差の見積もり方が非常に重要である事が明確になった。特に今までは、連続極限を取るときに離散化誤差の0次か1次までしか考慮していなかったのを、私は2次から4次まで取り入れ測定し、その時の連続極限の値についての誤差を見積もった。 また、同じ理論において擬スカラー粒子の異常次元を測定する新しい繰り込みスキームを提案し、現在その研究も進めている。その時にも、離散化誤差の影響を少なくするため、tree-levelでの各格子サイズでの擬スカラー2点関数の測定をシミュレーションレベルでできるように提案し、それによって格子サイズ依存性がきちんと現われるようになった。 どちらの研究も近々論文として発表する予定である。
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